2日間の経営シミュレーション研修で学んだこと
Y.K
ドイツで4年に1度開催される世界最大の印刷機材展drupa2024に行ってきました
ハイデルベルグ・ジャパンのツアーを利用しての参加です
drupaツアーを振り返りながら少しずつ記録に残していこうと思います
まずはこのツアー最初の視察はdrupaではなくドイツの印刷会社訪問
ハイデルベルグユーザーであるパッケージ印刷会社2社を見学しました
残念ながら写真はNGという事だったので文章のみになります
まず1社目がバウアーパッケージング社
1960年設立の会社で一貫した家族経営なのはウィザップと同じですね
名前の通りパッケージ会社です
従業員は100名を超えます
医薬品、ヘルス&ビューティケア、自動車向けパッケージを中心に1個でも10000個でも小ロットから大ロット迄生産します
当日の夕方までの入稿であれば当日夜に収めることも可能な生産体制です
交代制を敷いていて夜勤もあり
設備はデジタル印刷機が2台、オフセット印刷機が2台、抜きが4台程度、グルアー(貼りの機械)が3台、
グルアーの出口にはロボットがあり、箱詰め後の段ボールはロボットがパレットに積載するシステムでした
2台のグルアーの出口は1台のロボットでパレット積載対応できます
できるだけ人の手を介さずに生産できるようにしている印象でした
一方で、自動化を推し進めている反面、グルアーオペレーターは入り口でただ脳死状態で抜かれた用紙をセットし続けているだけという印象です
オペレーターがどのように育つのかは疑問ですしモチベーションの維持も難しいかもしれません
グルアー2台やロボットの調整をしているのは1人で、グルアー2台にそれぞれ1名ずつ用紙セットするだけの人がいるという2台のグルアーを動かすのは3人構成となっていました
グルアーは18000枚/時間程度で生産していました
ウィザップは商業印刷なのでパッケージの後加工は初めて見るものばかりで理解が追い付いていない部分もありましたが、自動化はすごいと思います
印刷は印刷機が2台
パッケージ印刷なので基本片面ですから7色機が2台
このときは1台しか動いていなかったですし最近は古い印刷機を使わずに最新の印刷機1台での生産が中心との事
自動化が進んでおり、給紙排紙の用紙入れや用紙出しのセットも自動です
給紙はパレットをコンベアにおいておけば自動で給紙に入ります
排紙は無人のリフトが刷本パレットを外に出してくれる仕組み
オペレーター2名での稼働ですがほとんど白紙用紙パレットの移動、排紙刷本パレットの移動、刷版の排反と版掛けの対応、ニスコーター胴の版交換(これは手動)のあたりをしているだけでした
刷り始めればPush to Stopなのでインラインで色測定し目標に入ったら印刷機が止まることなく本生産へ移行します
1台当たり360枚の前準備損紙が必要と聞きましたが、印刷機の全体の損紙率が3.6%(ウィザップで5%程度)だと言っていたので、前準備損紙に関しては日本語訳し間違いかもしれません
さすがに本紙のみの運用で前準備損紙1台360枚はパッケージ用の厚紙は価格が高いですし、損が出過ぎだと思います
用紙はスキットでの入荷です
ワンプは一切なし
用紙メーカーから1点ごとに使う用紙がスキットで必要枚数入荷します
1パレットごとに1点の仕事の用紙しか積まれていないのです
日本のように18Rが1パレットのスキットという訳ではなく、オーダーメイドでの入荷です
もちろん、紙問屋は間に挟んでいますが、用紙断裁も印刷会社では一切しません
この辺は徹底していますね
製紙メーカーは主要は2社だそうで、用紙種類が多くないこともスキットができる要因の一つかもしれないですね
経営課題は人的資源だと言っていました
競合は自動車関連メーカーで、同じ製造業です
印刷会社よりも自動車メーカーの方が給料が高いため、若い人はそちらに流れていくとのことです
ロボットなどで自動化するのは少ない人数で生産してコストを削減するという事だけでなく、人材確保のためにきつい仕事はできるだけロボットに任せるという意味合いもあるそうです
日本と同じく人材確保には苦戦しているとのことでした
それでも初任給でも3万ユーロ以上(日本円で510万円程度)あるという事ですから、さすが日本を抜いて世界第3位のGDPを誇るドイツです
※ただし、社会保障などで手取りは半分になり、さらにインフレが顕著なドイツ国内で暮らすには決して裕福な暮らしができる収入ではない
この辺が難しいところだそうです
1社目はこんな感じでした
つづく