鮮やかな色の印刷物を作りたい方に【kaleido】
Y.K
印刷業界でご飯を食べている以上、印刷の情報も届けねば。
という使命感の元、最新の印刷機で最も注目している印刷機に焦点を当てていきたいと思います。
これを読むと、印刷業界に変革をもたらすかもしれない最新の印刷機について知ることができます。
印刷機入れ替え検討している担当者、実際に使っているオペレーターの知識向上に役立てていれば嬉しいです。
今回はイスラエルのメーカー「Landa」の「Landa S10」を紹介します。
個人的に数年前から最も気になっている印刷機です。
まずは「Landa」はどんなメーカーかというと、ベニー・ランダ(Benny Landa)というデジタル印刷機に精通した人が立ち上げたメーカーです。HPのIndigoというデジタル印刷機を作った人ですね。
このIndigoは今では世界的に最もポピュラーなデジタル印刷機の一つとなっています。
そのデジタル印刷機の生みの親が自分の名前を冠した会社で理想のデジタル印刷機を作っているといったところでしょうか。
「Landa」はそういう会社です。
いままで、世界最大の印刷機材展「Drupa」で発表してから発売がなかなかされない、今までにないスペックを掲げたのは理想であって実現は無理なんじゃないか?と心配されてきましたが、ここ数年で試作機も出荷されて実態が見えてきました。
なのでなおさら私も期待しています。
今回市場に出回る「Landa S10」の特徴は何なのでしょうか?
Simply put, when it comes to printing folding carton and display, the Landa S10 Nanographic Printing® Press is the best solution. It offers the format, speed and quality needed to print mainstream jobs, digitally. Take a look: pic.twitter.com/okK51FXE5k
— Landa (@landanano) July 23, 2020
最大はデジタル印刷機なので刷版レスである事です。刷版が必要ないので、工程を減らすことができ省人化できますし、家庭用プリンター同様に1枚から印刷が可能です。
Here is another job hot off the Landa S10 Nanographic Printing®Press. Next step is finishing, where these collated sheets are going to save a lot of finishing time for Marketing Alliance Group. pic.twitter.com/pujsgYEM2L
— Landa (@landanano) July 9, 2020
1枚を大きな印刷機で印刷するには刷版が必要でコストが合わないとされてきましたが、それも解消できるでしょう。
また、色を合わせるためのヤレ通しも必要なく、数枚で色調整も可能。用紙代も時間も削減でき、人件費も下がるでしょう。どれだけコストをそぎ落とせるか楽しみですね。
ここまでは、デジタル印刷機のメリットの話そそのままです。特にLandaだからというセールスポイントではありません。
「Landa S10」の特徴の一つは、スピードです。
スピードは時間当たり6,500枚の生産が可能となっています。現状の枚葉オフセット印刷機の最高回転数が時間当たり16,000枚ですから、それの半分しかないと思われるかもしれませんが、現状市場に出回っているデジタル印刷機のスピードはせいぜい時間当たり3,000~4,000枚程度です。それの倍近いスピードを実現しています。
また、現状のデジタル印刷機の用紙サイズはある程度紙厚も必要で、B2サイズが最大サイズです。しかし、Landa s10はB1サイズが最大用紙サイズなので倍のサイズ。商業印刷でよく使われるA判、菊判をカバーしています。回転数は通常のオフセット印刷機より遅くても、版交換などのセット時間がないので全く問題ないでしょう。
多品種小ロット化している日本では大量な印刷物を早く作る必要はほぼないですからね。
色などの品質面も優れています。
デジタル印刷もかなりオフセット印刷の質感に近くなってきたとはいえ、絵柄の光沢感など全く同じというわけにはいきません。特に網点形状は課題なのではないでしょうか。網点の形状のきれいさによって写真などの見栄えが変わってきます。
Landaは独自開発のインク吐出テクノロジー「ナノグラフィ」でオフセット印刷に劣らない印刷面の品質を実現しています。実際のものは見たことがありませんが、網点の拡大写真をみた限りではかなり綺麗です。
オフセット印刷の網点形状もほぼ再現できるかもしれません。
また、7色のインキを使用するのでモニターで見る色の再現性も幅広いと思います。オフセット印刷機よりも表現できる色域は高いですね。写真集のような高演色印刷も可能かもしれません。
なんといっても個人的には見た目がかっこいいというのがLanda S10の最高なところだと思っています笑。
私も印刷オペレーターしていましたが、自分が操る印刷機の見た目がかっこいいと気分も上がるし可愛がりたくもなります。きれいに使いたいという気持ちも湧いてくるでしょう。
近未来的な外観、排紙側はコクピットのようなオペレーションスタンド、大きなディスプレイでマシンがどのような状況なのか一目で分かるようになっています。青と黒の基調色で統一されているのも良いですね。
本当にかっこいいし性能も良い。
Landa S10実機が見てみたい・・・。と思っていました。
実は先述したドイツで開催される世界最大の印刷機材展「Drupa」に行く予定だったのですが、コロナウイルスの影響で2021年に延期されましたし・・・。私がDrupaに行くことはなくなりました。
日本での販売はまだまだ先と言えそうなので、実機を観ることができるのはいつになるやらですね。
でも、楽しみは取っておくことにします。必ずいつか実機を観たいと思いますし、いずれはこのLandaが会社に導入できるように今を精いっぱい頑張るだけです。
こんな感じで最新のデジタル印刷機「Landa S10」について書きました。
本当に印刷業界に革命をもたらすことになるかもしれない印刷機です。
刷版が無くなったら製版していた人は必要なくなるので仕事がなくなる危機感も持ったほうが良いですね。
お客様はもっと安く印刷物を提供してもらえます。1枚からの発注もコスト面で今までよりしやすくなるはずです。
今もすでにそうですが、必ず今後はもっともっとデジタル印刷の時代が来ます。
印刷業界に携わる人は色んな情報を仕入れて、今後に備えていきましょう。