2019年前半終了|今日から後半戦開始
Y.K
こんなツイートが流れてきました。
これが、
人間がシカを狩らなくなった山の末路です。 pic.twitter.com/QFh7RnwMwJ— Kazuaki.T (@mt_plants) May 20, 2020
鹿は木の樹皮や枝葉を食べます。
その鹿が増えすぎたために森林が荒らされて山が禿げてしまう事が問題となっています。
日本における野生超獣害の中でも最も大きな問題の一つです。
一応農学部で生態環境系、林業系を学んできたのでこの辺は知っていますし、フィールドワークで鹿による食害のフィールドサイン(動物の痕跡)も見たことがあります。
生態系に関して情報があまり出回らない中で、こうして一般の人が知る機会がTwitterを通して提供されているというのはとてもいいことだなと思います。
鹿が増えているので頭数を減らすために地元の猟友会によって駆除されたりするわけですが、直接獣害の被害を受けていない人たちからすると、殺すのはかわいそうだなどという人も多いです。
しかし、現地の人からしたら相当困ることだと思います。
また、鹿の食害によって山が禿げて森林の自然堤防としての機能が失われれば土砂崩れや貯水の機能が無くなり、間接的に関係のない人たちの生活にも影響が出ます。
増えすぎた鹿を駆除するのはかわいそうですが、必要な事でもあります。
また、鹿が人の生活圏に降りてきやすくもなっているのは森林が適切に管理されていないことも原因の一つです。
東日本は特に昔植えた杉の人工林がたくさんありますが、今は建材も輸入木材が安く手に入るため、国産材の需要が低下して林業が衰退し、杉の人工林は管理されなくなり荒廃しています。
そもそも、杉は人間が人工的に植えた木で人工的に作られた森林であるという事は知っている人は、若い人であればあるほどあまりいないかもしれません。
人工林というだけあるので人が住む里山の付近に植えられていますが、下草狩りや枝打ちをしなくなった結果、里山と森林の境界線が野生動物にとってわからなくなり、普通近づかない人間の住む領域までおりやすくなってきているという事も問題視されています。
適切に管理されていれば、杉以外の植物は下草狩りといってきれいに除去して見通しの良い森林になっているので野生動物にとっては身を隠す場所が無くなりあまり近寄ってこないんですけど・・・。
鹿以外にも畑の野菜などがイノシシなどの被害を受けるなどといったニュースは大抵が人間と野生動物の居住地の境目が分からないような環境になっていることがほとんどです。
しかも、畑に来れば簡単に美味しい食べ物が待っているという事を野生動物も学習するのでいつまでも獣害の被害はなくならないですね。
獣害を抑えるために駆除以外の方法もあります。
人間と野生動物の居住地の境界線をわかるようにしてやればいいのです。
身を隠すことができないように、森林と人間が住む場所の間の植生を刈ってあげるとか。
電気柵を設けるとかいろいろありますね。
鹿が増えすぎて森林や里山で被害を受けているという事実があることをこのツイートで知った人がたくさんいるという事はとてもいいことだなって思います。
単純に森林を伐採してはいけないわけではないですし、野生動物を駆除してはいけないわけでもない。
長くなるので辞めますが、人工林は伐採&植樹のルーティンが適切にされているほうが森林の機能としても健全なんですよ。植えたら植えっぱなしだと実は森林は荒廃していき、カーボンオフセット(CO2削減、吸収の考え方)も効率が悪いんです。(森林の植物がCO2を吸収して空気中のCO2濃度を低下させることができますが、適切に管理、伐採、植樹されていないと、その効率が悪いのです。)
でも、自然と人間が共存できる環境を今後は整えていかないといけないですね。
私はそっちの道には進みませんでしたが、大学の先生方や先輩、後輩がこれらの問題解決に向けて頑張っていますので、共存できる日もいつか来ると思っています。
※私の大学時代の記憶に基づいて書いているので情報のソースはありません。間違っていることもあるかもしれませんが、このブログでの情報を基に受けた被害、損害、損失については一切責任を負いかねますのでご了承ください。