まだ濃度で色管理してるの?測色計で得られる「Lab値」を印刷オペレーターが活用する方法

10年前の職人の勘に頼ってきた時代とは異なり、印刷現場では品質安定化のために数値管理するようになってきています。

昔では測色計を使用してスポットでベタパッチの濃度を測ることくらいしかしてきませんでしたが、今は濃度のほかに、ドットゲイン、Lab値、色差である⊿Eの値などを計測して印刷の色を数値管理するようにしています。

 

その中でも、特にLab表色系が少しわかりづらいと思うので解説します。

Labの値で色を管理できれば品質の安定化、色合わせが楽になるはずです。

 

Lab色空間とは?

コニカミノルタのHPに以下のように記載されています。

L*a*b*色空間は、物体の色を表すのに、現在あらゆる分野で最もポピュラーに使用されている表色系です。
1976年に国際照明委員会(CIE)で規格化され、日本でもJIS(JIS Z 8781-4)において採用されています。
L*a*b*色空間では、明度をL*、色相と彩度を示す色度をa*b*で表します。

色の数値化には、表色系を使用します。1-楽しく学べる知恵袋 | コニカミノルタ

 

なんのこっちゃですね。

まず知ってほしいのが、Lab色空間では、L(明度)、a、b(a、bどちらも色相、彩度)、の3つの数値指標で色を表すことができます。

図解するとこうなります。

 

簡単に言うと、

 

〇L値:数字が大きいほど白っぽく明るい色、数字が小さいほど黒っぽく暗い色

〇a値:数字が大きいほど赤っぽい色、数字が小さいほど緑っぽい色

〇b値:数字が大きいほど黄色っぽい色、数字が小さいほど青っぽい色

 

になります。L,a,bいずれも+プラスから-マイナスまで数字の振れ幅があります。

 

図を見たまま文章にしているだけです。

 

このLabの値は印刷会社になら必ず1台以上はある測色計で計測できるはずです。

 

では、これらを印刷現場の印刷オペレーターはどう活かせばいいのか?

大抵は色見本のLabの値を測色計で計って色のプルーフを決め、その後実際の印刷物をサンプリングしてLabの値の差を算出、つまり色差を出します。

これが⊿Eという値です。

弊社の測色計では、L,a,bそれぞれの数値の差⊿L、⊿a、⊿bと、3つの値トータルでどれくらい差があるのかという指標⊿Eが計測できます。

これをオペレーターが活かすために具体的に言語化すると以下のようになります。

 

〇⊿aがマイナス値だった場合緑が強いか赤が足りないので、マゼンタの濃度を上げるか、シアン、イエローを下げるか、または両方

〇⊿aがプラス値だった場合緑が足りないか赤が強いので、シアンとイエローの濃度を上げるか、マゼンタを下げる、または両方

〇⊿bがマイナス値だった場合黄色が足りず、青が強いので、イエローの濃度を上げるか、シアンを下げる、または両方

〇⊿bがプラス値だった場合青が足りず、黄色が強いので、イエローの濃度を下げるか、シアンの濃度を上げるか、または両方

 

例えばこんな感じ。

でも、ここも考慮すべき。

 

〇-bの青にはシアン以外にマゼンタも入っている

〇+bの黄色はほとんどイエローのみ

〇+aの赤にはマゼンタのほかにイエローも入っている

〇-aの緑にはシアンとイエローが入っている

 

だから、aを改善するとbに影響したり、bを改善するとaに影響したりします。

バランスを見て濃度管理でLabの色差を0に近づけていきましょう。

 

そして、a,bを変動させることでLも変化します。

Lは明度なので白に近い明るい色、淡い色ほど+Lに振れていきます。ハイライトの側ほど+L。

黒に近い暗い色、シャドウ側の色ほど-Lになります。

 

見本と刷り出しを目視で見比べても色の違いが分かりますが、どの色の濃度を上げ下げすればいいのか判断付かない時、色の違いは分かるけど定量的に判断したいときはLabの値を参考にすることで色合わせも早くなると思います。

慣れるまでは難しいかもしれませんが、数値でどれくらいという感覚が分かれば絶対楽になるはずです。

まだ濃度で管理しているようであれば、Labで管理するようシフトしましょう。

 

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