リョービ924よ、早く元気な姿をみせておくれ><
Y.K
製品を作るうえで必ず行う作業の一つ「検査」。
不良品がお客様の手に渡らないように未然に防ぐため、また、生産途中で異変に気付き不良品の生産を防いで利益損失を防ぐため、等目的は多々ありますし、メリットがたくさんあります。
ウィザップは印刷会社なので印刷物の製造をしているという事で、もちろん検査はしています。
様々な工程を経て製品が完成しますが、そのすべての工程で検査がされています。
その中でも、今回は印刷での「抜き取り検査」に焦点を当てて、重点的にどこを見るべきなのかまとめます。
印刷における抜き取り検査とは、印刷された用紙を生産途中で一枚抜いて検査することです。
検査項目は様々ですが、ざっと挙げてみました。
・濃度変動がないか(色のばらつき)
・見当があっているか(見当不良)
・絵柄に欠損がないか(キズ、汚れ)
・裏表があっているか
・しわが入っていないか
こんなところでしょうか。
これらを未然に防ぐために、トータルの生産量にもよりますが、数百枚に1回製品を抜き取って人の目で見て検査をする目視検査しています。
色があっているかの濃度管理は機械で自動化されていますが、弊社の場合はほとんどが目視での検査になります。
オフセット印刷の紙はとにかく大きい。一般的なA判サイズであれば、1枚880㎜×627㎜という大きさです。その紙面目一杯に印刷された印刷物の不良を瞬時に見つけなくてはなりません。しかも、1分間で100枚以上生産される印刷物。隅から隅までくまなく目で見ていては不良を見つける前に生産が終わってしまいます。印刷では生産途中で検査して止めることはとても難しいのです。
なので、生産途中の抜き取り検査はすべて見るというよりは、1点1点仕事内容によって、どんな不良が出やすいか予測し、どこを重点的に視るか決めなくてはなりません。
では、上に挙げた不良を見抜くために具体的にどこを見ればいいのか?どこに注意してみればいいのか?をまとめてみました。
1.重めの平編みやベタ部の面積が大きい箇所はゴミが付きやすいためピンホールや抜け、こすれキズが出やすい
インクを多く供給している絵柄は何かしら問題が出やすいです。また、問題が出たときに目立つためお客様やエンドユーザーも気になります。
ピンホール、抜け、物理的なコスレ汚れなど注意しなければなりません。
まず、刷り出しでOKシートを出す際にどこにどんな絵柄があるか確認しましょう。重点的に視る項目を紙面でチェックしてから本刷に入ります。そうすることで、どこに気を付けなければいけないか頭に入れて抜き取り検査時に意識的に確認することができます。
重点的に視るべき絵柄は「ベタ部」「重めの平編み」「インデックス」「写真」等です。
2.裏表の検討は特に印刷するパレットを変えたときに確認する
ロングランの時には版は変えないけど給紙の紙が無くなったら次のパレットに交換すると思います。
その際に、給紙で紙が斜めに入ったままクワエて印刷されたり、給紙位置が当て側に寄っていて引き針が引きすぎていたり、逆に離れていて引かれていなかったりする可能性があります。特に引きすぎは警報音が鳴らないパターンも多いので注意が必要です。
裏表はパレット交換時のみならず、時々確認しましょう。刷終わりは必ず確認してください。
3.シートブレーキのコスレキズが先刷り面に出ていないか確認する
オフセット印刷機には排紙側で紙が暴れるのをおさえて紙を揃えやすくするためにシートブレーキという機工があります。
印刷されて出てきた用紙を裏側から掃除機のように吸って物理的に紙を押さえます。物理的にシートブレーキに用紙が当たるのでまだ完全に乾ききっていない先刷りの印刷面がコスレて汚れる可能性があります。
刷り出し前に絵柄の空を確認して調整しますが、1ミリも狂うことなく用紙が同じところを通過してくるわけではないので、抜き取り時にも確認したほうが良いでしょう。
また、本刷前の色や見当合わせの調整時に出ていなくても、本刷りで通しているうちにコスレ汚れが出てしまう事もあります。物理的に何かが当たる箇所なのでこまめに確認したほうが良いです。
4.先刷りの裏面も確認する
盲点なのが裏面です。天地返しで1パスの印刷なら表も裏もよく確認すると思いますが、左右返しで2パスの案件だと先刷り面の確認を見落としがち。たまにあるのが圧胴にインキカスやゴミが付いていて絵柄に影響したり、非画線部にインキが載ったりします。紙がへこんでしまう事もあるでしょう。
先刷り面は印刷した時に確認しているから大丈夫だという安心感もあると思いますが、本当に何も出ていないかどうかは正直どんなに抜き取り検査しても確証はありません。せっかく、もう一回見るチャンスがあるので確認しましょう。
5.水上りが顕著になってきた場合は過乳化による影響を考える
印刷は水とインキ(油)の適切なバランスが取れていないといけません。水が上がりすぎると機械内のローラーに保持されたインキが過乳化という状態になります。乳化というのは料理でも使われますが、油と水は本来反発しあう性質がありますが、この二つが混ぜ合わさっている状態です。
印刷の場合、インキに水が供給されて乳化が起こります。インキに水がたくさん混ざってしまっている現象を過乳化と言います。
過乳化だと、インキが水っぽくなり、網が太ってしまったり、油性の場合ドライダウンで印刷直後と比べて印刷して数時間たった後で色が薄くなってしまうこともあります。
刷途中では、印刷面が水っぽくなってしまい、コスレ汚れ、裏写り、網の絡みで絵柄が鮮明でない、地汚れ、などさまざまな事が起こります。
印刷途中に水を上げた直後は抜き取り回数を多くしてこまめにチェックしましょう。
他にも、カラーバーでの確認、加え尻でダブリチェックや紙伸びの確認などができます。
言ってしまえばキリがないのですが、製品が出来上がってしまってから、お客様の手元に行ってしまってからでは遅いのです。
100%これらの現象をを出さないという事は不可能です。必ずと言っていいほど何かしら出ます。でも、せめて自分たちで気づいて次工程に渡さないようにしなければいけません。
最終的にはメンタルの話になると思いますが、「自分は不良を出さないぞ!」という意識で抜き取り検査で不良を見つけて不良が品が次にわたってしまう事を未然に防いでほしいと思います。