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Y.K
一般的なチラシ、ポスター、パンフレットなどの商業印刷物、小説や雑誌などの本・出版物は、ほとんどが「オフセット印刷」と呼ばれる印刷方式です。
オフセット印刷の中にも、トイレットペーパーのようなロール紙を使う「輪転方式」、コピー機で使う紙のように予めある程度の規格の大きさに切られている紙1枚1枚に印刷する「枚葉方式」があります。
もう少し知りたい方は下記リンクにわかりやすく説明されていたので覗いてみてください。
ウィザップではオフセット印刷の枚葉方式の印刷機を採用しています。
印刷するには紙を使用するのは当たり前ですが、機械にセットする前に紙を用意しなければなりません。印刷工場で働くためにまず最初に覚えるのが、基本作業「紙積み」です。
紙はこのように茶色い包み紙で覆われた状態で入荷します。
紙が何にも包まれていないで裸のままだと、湿気を吸って波打ってしまったり、逆に乾燥して水分が無くなってカールしたり、癖がついてしまいます。お風呂で本を読んでいると、紙が波打ってしまいますよね。あの状態になります。それでは、印刷機で正しく印刷できないので「ワンプ」という茶色い紙で保護しています。
このワンプを剥いで、中に入っている白い紙を積み変える作業が「紙積み」です。大人の背丈ほどの高さがあります。
百聞は一見に如かずということで、下の動画をご覧ください。
7分もありますが、最初の数十秒だけみれば十分かと思います。
お分かりいただけたでしょうか?
紙はチラシのようなA4サイズ1枚だと持っているかわからないくらい軽いですが、動画で積んでいる紙は「A判」というサイズで、A4なら8枚分の大きさです。
これを一掴みで250枚くらい積んでいます。約11㎏位です。
持ってみないとわからないかもしれませんが、束になると結構重いですよ。
因みに、紙は手を切りやすいので、軍手は必須です。
紙積みはただ紙を積み替えればいいというわけではなく、印刷機を効率よく動かすための重要な作業です。
まずは、折れない様に積むのは必須条件です。紙が痛まない様に積みます。初心者は必ずと言っていいほど、紙がペコ折れしてしまったり、積んだ時に下の紙が折れてしまったりします。
また、紙は積み替える前は1枚1枚がぴったりくっついていて、静電気も帯びています。このままでは、機械で1枚1枚捌く装置はありますが、捌ききれなくて2枚出てしまい、機械が止まってしまう可能性が高いです。
なので、紙積みでは、1枚1枚に空気を送り込んであげて、機械で紙を捌きやすくしてあげます。
動画内で、積む前に紙をつかんで扇状に紙を内側に畳んでいるような動作がありますが、あれが空気を送り込んで紙を捌いている動作です。
これがうまくできないと、機械が度々止まって生産性が悪くなります。機械が止まると、印刷時の色も変動しやすくなるので、安定して高品質な製品を短時間で生産をするためには、紙積みがうまくなることはとても重要です。
紙積みは、うまくなれば自分と同じ背丈ほどの紙を10分程度で積み上げることができます。
こちらの動画は早送りの動画ですが、10分で9500枚を積みました。
紙積みがうまくできていれば、下の動画のように機械で綺麗に1枚1枚捌いて、機械が止まることなく生産できます。
紙積みが安定した製品作りに欠かせない技術だということがお分かりいただけたでしょうか?
上で説明した以外にも、紙の状態を見て反っていたら裏返して印刷しやすくしたり、紙に癖をつけたり、紙の温度を確認したり、紙の種類・状態によって様々な事を判断して然るべき対応をします。
紙積みは基本的な作業だけど、本当に重要な工程なんです。
印刷物を手にしたときに、少し「紙積み」の事を思い出してみてくださいね。