「内定先に就職したくない学生」が増加しているのは、企業側の早期の囲い込みによるミスマッチが原因の一つ

内定後に「内定先に就職したくない学生」が増加している

10月1日を迎えて、正式に内定が出ました。普通であれば、就職が正式に決まったようなもので、学生にとっても一安心で嬉しい事だと思います。

しかし、内定後に「内定先に入社したくない」学生が増加しているのだとか。

 

内定後に「内定先に入社したくない」という学生が増加 | 財経新聞

 

アンケート結果は以下の通り

「内定先に就職したくない」

昨年:3.7%

今年:19.6%

 

「どちらかというと/できれば入社したくない」

昨年:5.2%

今年:8.4%

引用:内定後に「内定先に入社したくない」という学生が増加 | 財経新聞

 

「内定先に就職したくない」学生が全体の約2割。昨年からは5倍以上に増加しています。

これは異常な上がり方だし、異常な数値。

 

記事内に理由は書かれていません。予想すると、「妥協した内定先」「売手市場で就活を安易に考えていたが希望する会社に受からなかった」「内定式を迎えて思っていた企業と違った」等々、いろいろあると思います。

学生側にも原因があるかもしれませんが、企業側棋起因の原因を考えてみると、個人的には「早期の囲い込みによるミスマッチ」が一つの大きな原因だと思います。

 

 

「早期の囲い込みによるミスマッチ」が内定者を不安にさせている

近年の新卒採用で問題となっている「採用(就活)ルール」。

経団連が「採用(就活)ルール」を決めました。現在は3月に採用広報開始、6月より選考開始という期間を定めています

しかし、経団連加盟企業ですらこのルールを守っていない企業もあり、ほとんど形骸化してしまっています。弊社も選考に関しては6月より前倒しで行っています。

そんなことから、「採用ルール廃止」「通年採用」等と最近のニュースでも話題に上がっています。

 

企業は採用ルールを無視して3月よりも前に広報を開始し、もっと早い企業は内々定まで出しています。これは、売手市場により学生優位の立場であり、大企業を中心とした競合他社に流れる前に囲い込みをするためです。

学生はまだ就職活動が本格的に始まらないうちに内々定をもらい周りの学生よりも優位な立場に経てる優越感と、とりあえず就職先が確保できた安心感を得ることができます。

ですが、学生にとっての就職活動の目的は、安心感を得るためでも、とりあえず内々定をもらう事でもありません。自分が譲れない条件を満たしている企業に不透明な部分をできるだけ解消して納得して入社することです。

入社前にすべてはわからいないし入社してみないとわからないこともあります。でも、超短期間で面接して内々定まで行くにはどんな企業かを理解するまでのプロセスがほとんどないと思います。なので、10月1日の時点で内定式に行き、改めて内定先の企業の人に触れ合ったときに、何か違うな、不安だな、という気持ちが芽生えてくるのではないでしょうか。就活していても様々な情報が入ってきますしね。

その結果が今回のアンケートに少なからず影響していると思っています。

 

早期の囲い込み自体は人を確保する手法としては悪い事ではありません。しかし、学生と企業のミスマッチを防ぐような施策を打つことが企業側には必要です。内定者フォローです。ミスマッチがあるまま入社しても、早期退職か、モチベーションが上がらない社員になったり、負のスパイラルに陥ることも考えられます。

「多めに内々定を出して半分くらい残ってくれたらそれでいいや」みたいな採用手法ではいけないということです。企業にとっても数を確保することも大事かもしれませんが、それは最大の目的ではないから。採用した人間がどれだけ会社に貢献してくれるのかが大事です。人数を確保することだけが採用目的になっているのであれば、それは危険です。

 

「早期の囲い込み」は学生、企業、どちらにも問題があると思いますが、ミスマッチが起きやすいと思います。

お互いに問題点を理解して解消できるように動く必要がありますね。

 

それにしても、約20%の内定者が「内定先に就職したくない」と思っている日本の採用市場は大丈夫なのだろうか、と心配でもあります。

2021年卒以降は経団連の採用ルールが廃止され、政府主導のルールになると言われていますが、企業側のみならず、学生の視点にも立ってルールを決めて欲しいですね。

 

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