サイレンススズカ　追悼

競馬ときどき仕事、本間です。

11月1日、この日になると思い出す馬がいます。

僕の大好きな馬。

サイレンススズカ

1998年11月1日の天皇賞（秋）が最後のレースとなり、天国へ旅立ちました。

レース中の故障、これは競馬という競技の中で一番おそろしいもの。

命日ということでサイレンススズカを思い出すという意味も含め、この馬がどういう馬だったかを少しだけ紹介したいと思います。

サイレンススズカは「希代の逃げ馬」と言われ、簡単に言うと、序盤から一番先頭を走り、どの馬にも抜かれないままゴールするという馬。

逃げ馬という馬はたくさんいるのですが、自分のペースをたもてないと脆い面があります。

しかしこの馬はそういう脆いといった部分がなく、序盤から早いペースで逃げても最後にまた脚を使えるというものすごい馬でした。

そのうちのひとつを紹介します。

逃げて一旦後続をひきつけてまた脚を使う。

そしてこのレースで負かしたエルコンドルパサーやグラスワンダーはこの当時日本でも強い2頭でした。

その2頭を負かしたわけですから、もう中距離で日本に敵なしということを明確にしたレースでもありました。

そして世界を見据えて挑んだ天皇賞（秋）。

僕が最も見たくないレースかもしれません。

ゲートがあいた瞬間からグングン飛ばして前半1000mは57秒台、普通の馬ならハイペース。

でもスズカはいつも通りで、本当に気持ちよさそうに逃げているように感じました。

悪魔は3コーナーと4コーナーの中間地点、スズカがつまづいたような素振りをみせ、いっきに減速。

スズカの左前脚は粉砕骨折。

施された処置は安楽死でした。競争馬にとっては一番おそろしい事故です。

立っていられのもやっとの状態なのに、転倒することなく、他の馬を邪魔することなくコースから離れていきます。

鞍上だった武豊ジョッキーは「僕を守ってくれたのかな」と言っていたといいます。

ほんとのところ馬の気持ちはわかりません。

でも、本当に立派な馬だと思います。

この馬が現役で走っていた時はまだ僕が競馬を知りませんでした。

でも競馬と知り合い、この馬の名前を知り、大好きになった。

いま思うことはこの馬の走りを生で観たかった。この馬の子供が走っている姿を見たかった。

twitterではたくさんの競馬ファンから追悼のコメントを見かけます。それほど愛された馬だったんだなと改めて感じます。

いまは天国でたくさんのホースマンの夢をのせて先頭を走っていると思います。