HAC -19-

こんにちは、ウィザップDTP部のヒグチです。

ヒグチ・アルビレックス・クロニクル「HAC」第19話です。

 

 

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2005年。

J1昇格後2年目のシーズン。

 

震災などもあり無我夢中で駆け抜けた1年目とは違い、この年からが本格的なJ1生き残りを賭けたシーズンと言えるでしょう。

 

16チーム中最下位になり、さらにJ2・3位との入れ替え戦に敗れたクラブだけが降格だった前年と違い、18チーム中下位2チームが自動降格。16位が入れ替え戦に回るというレギュレーションになったこの年。

 

J1残留に向けてクラブも積極的な補強を敢行します。

DF海本慶治・幸治郎兄弟、DF萩村滋則、ミスターグランパスと呼ばれたMF岡山哲也ら他クラブの主力級選手やFW河原和寿、DF藤井大輔など年代別代表経験のある高卒選手に加えて、元ブラジル代表経験のある右サイドバック、フリーキック(FK)の名手アンデルソン・リマを獲得しました。

 

このアンデルソン・リマはクラブ在籍1年のみ、数字の上でも大きな実績を残したとはいえませんが、ある1プレーでアルビサポーターの歴史に、記憶に残る選手となりました。

 

 

 

5月4日、J1第10節の川崎フロンターレ戦。

1-1で迎えた試合終了10分ほど前、アルビは絶好の位置でFKのチャンスを得ました。

ここで反町監督はベンチにいたリマを呼び寄せ、すぐさま投入します

 

元セレソンの肩書きを引っさげて加入したリマですが、コンディションやチーム戦術の都合もありスタメンはここまで2試合のみ。しかし、すでに途中交代からFKでゴールを奪うなどその右足の精度は実証済み。

 

スタンドを埋めた大観衆もそれを期待して、4万人の「リマコール」がスワンにこだまします。

 

壁の位置の修正など、リスタートまで数分を擁したと思います。

その間、微動だにせず集中するリマ。

時間が経つ毎に「リマコール」の声量は大きくなり、スタジアム全体が異様な雰囲気に。

 

 

そして、そのとき—

 

GWということでヒグチも帰省し、スワンで友人たちとこの伝説のシーンを目撃しました。

ビッグスワン完成から15年、こけら落としやJ1昇格決定試合、奇跡の残留、日本代表戦など、多くの名シーン、名勝負を見て来ましたが、このときの「リマコール」、スタジアムの一体感を超える場面にはまだ出会えていません

 

Jリーグの歴史からすれば、なんてことはないリーグ戦の1試合ですが、アルビサポにすれば忘れられない瞬間になったのです。

 

 

リマは結局1年でアルビを退団。ブラジルに戻ることになりますが、退団会見での涙など、アルビや日本への愛情は意外な形で後の優良ブラジル人選手獲得につながります

 

 

「お前が行かないなら俺が行きたいくらいだ」

 

日本(新潟からのオファー)行きに悩むマルシオ・リシャルデスにリマがかけた言葉です。

レオシルバの獲得に際しても、リマの助言があったとか。

 

こうしてアルビでプレーし、新潟を愛したブラジル人選手たちの連鎖が、アルビの優良助っ人獲得につながっていったのです。

 

 

 

続く

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